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分掌変更に伴う役員退職金の分割支給認める
    -  東京地裁・翌期支給分の損金算入で判示

  東京地方裁判所はこのほど、役員の分掌変更が行われた事業年度の翌事業年度に分割支給された役員退職金の損金算入の是非を巡り争われていた事件について、国側の主張を斥け、分割支給年度での損金算入を認める旨の判決を行った(平成24年(行ウ)第592号・平成27年2月26日判決言い渡し・確定。)。
  今回の裁判は、原告A社が、代表取締役から非常勤取締役に分掌変更した役員に対して支給した役員退職金を巡るもの。A社は、資金繰りを踏まえ、取締役会で「退職慰労金2億5,000万円を3年以内に分割支給する」旨を決議し、分掌変更が行われた事業年度とその翌事業年度に分割支給し、それぞれの事業年度で損金経理し、損金の額に算入した上で申告を行った。
  これに対し税務当局は、翌事業年度に支払われた金員が役員退職給与に該当しないとして損金算入を否認する更正処分を行った。この処分を不服として、A社は訴訟に及んでいたものである。
  国側は、「法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理した場合には、これを認める」とした法人税基本通達9-2-28ただし書は、完全に退職した場合に適用されるもので、A社の行った会計処理は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従ったものではないと主張した。
  これに対し東京地裁は、通達ただし書の「退職給与」と「退職した役員」の文言には、完全に退職した場合だけでなく、役員としての地位や職務内容が激変し、実質的には退職したと同様の事情にあると認められる場合も含まれるとし、分掌変更に伴う役員退職給与にもただし書の適用があることを明らかにした。
  その上で、費用の計上時期は、公正処理基準に従うべきであり、中小企業は法人税法上の計算処理に依拠する場合が多く、本件ただし書を根拠に行ったA社の会計処理は、公正処理基準に従ったものと認められると判示した。ただし、判決では「役員退職給与の「総額」と分割支給の「終期」があらかじめ定められていない場合は、現実に支払われた金員が退職に起因して分割支給されたものかの判断が通常困難となる」とも言及している。

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